僕の友人の友人の話だ。仮に彼の名をデーブと呼ぼう。デーブはよく出張に行く。この間も、顧客との重要な打ち合わせのためアトランティックシティに出向いた。仕事を終え、帰りの飛行機まで時間があったので、地元のバーで一杯飲むことにした。
ちょうど一杯飲み終えたとき、魅力的な女性が近づいてきた。
「もう一杯いかが?ごちそうするわ。」
ちょっと驚いたが、悪い気はしない。「いいね」と答えた。女性はバーコーナーに行き、飲み物を二杯持ってきた。一杯は自分がとり、一杯をデーブに差し出す。デーブはお礼を言うと、グラスに口をつけた。記憶はそこでおわり。
いや、正確には、目を覚ますまでの記憶が飛んでいるのだ。目覚めたとき、デーブはホテルの風呂の中で氷水に浸かっていた。頭が混乱している。
デーブはあわててあたりを見回した。ここはどこだ?いったいなぜ、こんなところにいるんだろう。そのとき、一枚のメモに気づいた。
「動くな。救急車をよべ」
風呂のそばの小さなテーブルの上に、携帯電話がおかれていた。デーブはかじかんだ指で不器用に911番をプッシュした。交換手は奇妙なことに、彼がおかれた状況を熟知しているようだった。
「いいですか、ゆっくりと気をつけながら、背中に手を回してみてください。腰のあたりからチューブが出ていませんか?」
デーブは不安にかられながら、腰の辺りを手探りした。確かに、チューブが突き出ている。交換手は言った。
「落ち着いて聞いてください。あなたは腎臓を一つとられたのです。この町で暗躍する臓器狩り組織の犯行ですね。今、救急車がそちらに向かっています。動かずに待っていてください。」
・・・・・・
これは、Chip Heathさん、Dan Heathさんの著作、「Made to STICK」の一節です。
次を読まずにはいられないストーリーですね。
脚本家や書籍の著作家に限らず、ストーリーを使うことで人々をコントロールし、行動させるスキルが存在します。コピーライターはその代表例。
アリエラはニュージャージ州に住む41歳の主婦です。7歳の息子は自閉症で、家事に育児に大忙し。
彼女は一般企業に就職したことはありません。「ビジネスなんてインテリの使う言葉よ」というくらい。商売経験はほぼ0。
2010年の3月6日、時計の針が15時を回ろうとしていました。彼女は夕食の買い物を終え、自宅に到着。
「さあて、一休みしよ!」
15時を回ると、彼女の日課、読書の時間です。その日は、これまでの本を読み終えたので、Kindleストアで読み物を探すところからのスタートでした。
彼女の好きな著作家はジョン・アーヴィング。
軽快なリズムでポチッと。・・・・?
Kindleにダウンロードされた本をみるとジョン・アーヴィングの本ではありません。彼女のクリックエリアはアーヴィングではなく、ジョン・ケープルズをヒットしていたのです。
どうやらコピーライティングの本のようです。
確認画面を見ずに購入したのはこれで3回目。
「しょうがない、、、読んでみるか」
しかしコレが運命を変えた1クリックとなりました。
時は過ぎ、2016年10月、彼女は、インフォプロダクトの大手出版社から多額のオファーを受けて、コピーを書いていました。もはや年収1000万円を超えても驚きません。
これらの話しの登場人物は架空の人物ですが実際に起きた出来事ではあります。
1クリックがきっかけで、コピーにより初年度323万円の年収を獲得。その後も年収を伸ばし続けました。繰り返しますが、彼女はビジネス経験がほぼ0です。
なぜ、ビジネス経験がない主婦がここまで稼げたか?
答えは感受性です。感情をグワングワンと揺さぶらなければ人は動きません。この琴線に触れるのがうまかった。そして、その手段としてコピーライティングは最適なのです。それが彼女が成功した理由です。
もしあなたがレジ打ちの仕事に応募しようと考えているのであれば、一旦立ち止まった方がいいかもしれません。あなた独自の感受性がたくさんの人を動かし、多額の報酬を受け取れるかもしれないのです。