たぶん中学生だと思うんです。
家から徒歩5分くらいのところに野球場があります。昔野球をやっていたこともあって、試合をやっているとつい見てしまいます。その日は、暑い日でした。中等野球部の練習試合のようです。
「何やってんだよ!!集まれ!!!」
!マークが何個つくかわからない罵声を使って監督が部員を集めています。市川悦子ばりに聞き耳を立てて話しを聞いていました。結論を言ってしまうと、部員があきらかなミスをしていました。しかも同じミスを繰り返したようです。
部員は明らかに萎縮していました。なんとなく見ていると萎縮したことがきっかけで、さらにミスが出たように思います。みんな完全にビビっていました。そんな中、監督の罵声にも怯まずに冷静に対策を考えて、みんなに提案している子がいたんです。
苦しい状況でも冷静に思考できる子とビビって思考が止まってしまう子の間にはどのような差があるんでしょうか?そんな時に読んだ本がこの問いに対して的確な答えを提示していました。
ポール・タフ著「成功する子 失敗する子」
この本はとある子供達を観察した研究者による研究の結果です。
例え話しをします。
とある貧しい集落で生を受けた女の子がいるとします。その集落は繁華街と隣接しています。その子の一族は代々の祖先達から、現在にいたるまでとある「運命のループ」に悩まされていました。繁華街に出て「悪い」友人を作り、17歳前後で妊娠して、25歳前後には離婚するというループです。
案の定、その子が15歳になるころには「悪い」友人達と付き合うようになり、「運命のループ」に入ろうとしていました。母親はそれをなんとか防ごうと、ありのまま思いの丈をぶつけて議論したそうです。4年後、その子がいた場所は日本でも指折りの難関大学でした。「運命のループ」から逃れたのです。
母親とその子はいったい何を議論したのでしょうか?何が彼女を変えたのでしょうか?この本を読めば中等野球部にいた子が苦しい状況にも関わらず、冷静に対処できた理由が説明できます。自分で思考する子はどのようなきっかけでそのような力が目覚めるのでしょうか?運命があるとすれば、それを変える子のきっかけはなんでしょうか?
ボリューム的には1日〜3日程度で読める内容です。たくさんの子育てのヒントが眠っていました。